超古代文明人（およびその技術を伝承した人々）は、ピラミッドをどうやって作ったのでしょうか？ 何百トンの重量の石をどうやって運んだのでしょうか？ どのようにして東西南北を正確に求め、それを大建造物に誤差なく適用できたのでしょうか？
ハンコックは、これが「〜文明」では不可能な水準だ、というニュアンスのことは何回も言っています。もちろん、現実の研究では、このような細かい技術的な側面についても様々な論稿が出ていて、別に不可能ではないことは明らかになっているのですが（Journal of the American Research Center in Egypt といった専門誌にも建築系と思われる人などがよく論文を書いています）。
しかし、まぁ、ここも「フィクション」として、「通説」の言う技術では出来ない、ということにしましょう。
さてこう譲っても、「通説」で出来ない、というだけでは何も解決しません。ハンコックは「どうやって」について述べなければならないと思うのですが、述べていません。「通説」を攻撃する時はあらゆる手段を使いますが、そこで「思考停止」してしまうのです。
「超古代文明」だから、で答えになるのでしょうか？
「超古代文明」なら「なんでもできる」のでしょうか？
ミステリーで言えば、警察が当初考えた犯行方法は実現不可能だとわかった、というところから、「真の犯行方法」を示さずにいきなり犯人だけ出すようなものです。
謎は実は全然解決していないのです。
もちろん、「お話」ではないのだから、という弁解はできますが、そういう観点から見るとしたら、同時に「エンターテインメントとしては楽しめる」とは言いにくくなるでしょう。
そして、もちろん、「嘘」や「誇張」を大目に見る余地は全くなくなります。