暗殺者の名前

ちょっと不謹慎な内容なので、ラビン暗殺について思い入れのある方は、お読みにならないでください。

ドロズニンの解釈

ドロズニンは、『聖書の暗号』p.15に以下の暗号表（暗号表２）を掲げ、次のように解説しています：

　ラビン暗殺後、暗殺者の「アミル」という名前がすぐに聖書の暗号のなかに発見された。それはラビンという名前のすぐ上にあったが、ちょっと見ただけではわからなかった。
「アミル」は「イツハク・ラビン」と「暗殺するであろう暗殺者」と同じ場所に暗号化されていた。そればかりか、「暗殺者の名前」という言葉が、聖書のもとのテキストでは、「アミル」という名前が隠されていたのと同じ行にあった。（以下略）
（p.14；さすがに、訳の「イツァーク・ラビン」はひどい音写なので変えてあります。）

下の図は、暗号表２のヘブライ文字を単なる記号に変えて表わしたものです。図の◇◇◇◇が「アミル」なのですが、どうも「イツハク・ラビン」○○○○○○○○や「暗殺するであろう暗殺者」□□□□□□□□□□□□□□、との距離がそれほど近いように見えません。少なくともドロズニンの「ラビンという名前のすぐ上」というのは、相当な誇張ではないでしょうか。そうこう考えているうちに、ふとドロズニンの触れていないあることが、脳裏に閃きました：

暗殺といえば、「彼」は？

ドロズニン『聖書の暗号』暗号表２をもとにした図

「トーゴー」がすぐ下に！

あらためて、暗号表２をじっくり見直してみました。すると、なんと「暗殺するであろう暗殺者の名前」の下にぴたりと接して、２字おきにＷＧＷＴと並んでいるではありませんか！――上図参照（なお、ヘブライ文字は右から左へと読みます）。等距離文字列の読む方向は「なんでもアリ」ですから逆から読めば、ＴＷＧＷになります。このヘブライ文字の読みは、「トゥーグー」「トーグー」などとともに「トーゴー」が可能です。

「トーゴー」。「暗殺」という語にすぐ接して出てくる「トーゴー」＞「東郷」といえば、「デューク・東郷」すなわち「ゴルゴ１３」しか考えられません。やはり、彼がこの件にも関わっていたようです。

なお、このＴＷＧＷの現われる部分を仔細に眺めると、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ｔ・・Ｗ・・Ｇ・・Ｗ・・・・・・・・
他の字を少し補うと
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ＱＴ・ＷＷ・ＤＧ・・Ｗ・・・・・・・・
ＴＷＧＷを消すと
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ｑ・・Ｗ・・Ｄ・・・・・・・・・・・・
と文字列ＤＷＱ、すなわち「デューク」もちゃんと織り込まれています。もう疑いはないでしょう。

もう一度、上の図を見てください。◇◇◇◇「アミル」とＴＷＧＷ「トーゴー」、「聖書の暗号」を信頼する限り、どちらがイツハク・ラビン暗殺により関係が深い、といえるでしょうか。誰が見ても、ぴたりと接している「トーゴー」の方でしょう。ドロズニンの読みはまだまだ甘かった、と判断せざるをえません。

それにしても、このことを既に二千年以上前から暗号に織り込んでいた「聖書の暗号」おそるべし！

まだ疑いをお持ちの方のために、もう一例追加しました。(1998/03/05)

ところでこんなこと、ホームページに書いて命は大丈夫なんだろうか？

(1998/03/18）さらにくだらない例：ラビン暗殺を示す聖書の暗号表に無数の”ＭＭＲ”が！

「聖書の暗号」の恐怖

「聖書の暗号」やそれに用いられている「等距離文字列法」については：

• 「相性占い」に絶対使える（ただし、聖典を使うのはやめてほしいし、誰でも読める文字でないとおもしろくない）；
• 論理的には、「自己言及命題」があるかどうか探すと面白い；「聖書の暗号」という文字列と「でたらめ」という文字列が近接して出てこないか、など

元ネタは、sci.skepticだったかな、忘れてしまいました。

「聖書の暗号」の文字列で、友人の名前に並んで、自分の妻（夫、恋人）の名前が現われてしまった時は、どうすれば良いのでしょうか？