月日

月日の表現も、５−８文字に制限してしまったことで、大きな問題をはらんでしまいました。

まず、こちらも最初に疑問です。ユダヤ暦には、「マルヘシュヴァン」という６文字の月名があるのですが、「ヘシュヴァン」という短縮した表現----ヘブライ文字で４文字----も使われます。

リップスらの論文では、短い「ヘシュヴァン」が一貫して用いられていて、長い「マルヘシュヴァン」はたとえ日にちを含めて８文字以内でも使われません。そして、なぜ正式な「マルヘシュヴァン」の方を使わないのか、については何の説明もありません。

まぁ、これは大目に見るとして、話を進めます。
リップスらの論文で用いられている月日の表し方は、英語の"in"に当る前置詞「ｂ」の有無と語順によって、次の３通りが選択されています（p.291----ただし、元論文の誤植を引き継いでいます）：

• 数字　月名
• ｂ　数字　月名
• 数字　ｂ　月名

さて、リップスの論文を離れて、一般のヘブライ語表記では、

• 数字は、1-10,20,30 が１文字；11-19,21-29 が２文字。
• 月名は、２文字１つ（アブ月）、６文字１つ（マルヘシュバン月）、残りは３−４文字です。ただし、マルヘシュバンは、上で述べたようにリップスらの論文では４文字の略号が用いられます。

したがって、上の３通りの表記法では、

• アブ月1-10,20,30日は、短いのが３文字、ｂを使う長い方が４文字；
• アブ月11-19,21-29日およびテベトなど３文字の月の1-10,20,30日は、短い表記が４文字、ｂを使う方が５文字；
• ３文字の月の11-19,21-29日およびキスレヴなど４文字の月の1-10,20,30日は、短い表記が５文字、長い表記が６文字；
• ４文字の月の11-19,21-29日は、短い表記が６文字、長い表記が７文字；

いずれにしても、ヘブライ文字での月日の表現は、３−９文字、「マルヘシュヴァン」を略称に限ると３−７文字、なのですが、リップスらの５−８文字限定はそのデータ形式にあまり適してはいません。

月日の表現は、通称と比べても、がっちりと決められるものです。３−４文字の表現が、かなり存在するのに、それを「無視」するリップスらの方法の不自然さは際立ちます。

なぜ、３−９文字というデータタイプに合わせた検証法を採らないのでしょうか？